投稿

7月, 2021の投稿を表示しています

Claire's Fantasy レビュー

イメージ
  カリスマの主宰であり、サウンドレコーディングなど、数々の著述、そして作・編曲家でもある高山博氏から、St.Claireの 作品レビューが届きました。 楽曲を試聴頂き、めっちゃ温かいお言葉の数々、先生、ありがとうございます!! アルバム全体についてのレビューを、ご紹介させて頂きます。 (写真は 数年前、横浜「まごころ居酒屋Roundabout」にて、先生と♬) ~劇的な構成と優しい抒情が彼方へと導く~                          = 高山 博 = 安斎ゆう子は、関西を中心に活躍する音楽家。コンポーザーとして、あるいはピアニスト、キーボーディストとして数多くの仕事をこなしている。僕が初めて出会ったのは、まだ音大を卒業してすぐの頃だったが、すでに完成されたしっかりとしたピアノ技術を持っていた。その後、最新のテクノロジーを貪欲に吸収し、作曲にもチャレンジし才能が花開いていく様子を、楽しみながら、そして半ば驚きながら見ていた。そんな彼女から、初のオリジナルアルバムが届いた。多彩な活動を通して知り合ったつわものミュージシャンからなるバンド、St.Claireを率い、全曲の作曲はもちろん作詞も手掛けている。 アルバム収録曲は、ゆるやかな連関を持っていて、全体として一つの作品として聞くことができる。ア・カペラ独唱により、物語の開幕を告げられ、M2ではるけき航海へと旅立つ。躍動感のある曲調のなかに洋々たる前途が広がる。M3では世界は曇り、孤独にさいなまれるが、やがて空は晴れ、救済の表情が母性的な優しさを感じさせる。慈愛にみちたピアノ、ヴァイオリン、ヴォイスに、ドラム、ベース、ギターが鋭く切り込み、壮大な盛り上がりを見せ、テーマであるClaireの名前が呼ばれる。 M4で再び旅が始まり、変拍子とテクニカルなフレーズ、フリーにインプロバイズするピアノが推進力を与え、ギターが咆哮する。一転して軽やかなM5では、Claireが自らのことを歌う。インターミッション的小品といった趣だが、Claireが全てを受け入れる存在であることが明かされ、ここでも優しい包容力が世界を慰撫する。  M6では、今ここからの旅立ちが、肯定的で前進的な曲調を伴って歌われる。テクニカルで激しいインストゥルメント部分を挟み、多様性を認め、全てを抱きしめる。母性的で雄大な曲調が、大き